曲書緩想文

もともと音楽の話ばっかりしてました。今はよくわかりません。

誰も知らないトーキョーブルース(avengers in sci-fi @新宿LOFT 2014 06/12)

僕は現在、基本的に月〜土曜日、夜固定で働いている。陽が傾いてから職場に入り、遅くとも日付が替わる頃には帰れるのでさほどキツくはない。

難点といえば、連休が非常にレアなことと、平日・土曜のライブがほぼ絶望的に観られないことくらいだ。
そんなこんなで平日の魅力的なライブの告知を見ては「そんなものは存在しなかった」と自分の記憶を改竄することに注力し、悔しさを紛らわせるのが日常茶飯事である。
 
時に、6月。祝日が設けられておらず、ゴールデンウイークと海の日のちょうど中間点に当たるこの時期の木曜日に、僕は新宿LOFTへ向かっていた。
時刻は、午後11時30分。
avengers in sci-fi(以下アベンズ)の5thアルバム"Unknown Tokyo Blues"リリース直前パーティーが急遽企画されていた*1のだ。

 

Unknown Tokyo Blues

Unknown Tokyo Blues

 

 

*1:Web上に企画が告知されたのがイベントの一週間前にあたる6月5日。ちなみに僕が知ったのはイベント2日前だった。

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ロックスターによろしく(後編)(the band apart @心斎橋BIG CAT 2014 06/08)

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(前編はこちら)

 

「とりあえず、ドーピングパンダはもう一回活動を再開するべきだなと。」

 と原が言うと、ドーパンのファンも多い今日の会場は、大いに沸き立つ。

そして舞台袖にいるらしいフルカワに向かってステージに来て喋るよう呼びかけるも、フルカワはなかなか出てこない。

 

と、その時、荒井がギターに手を掛けて弾き出す。

バンアパの曲ではない。

ドーパンの"transient happiness "のイントロだ。

 

それに呼応して木暮も同曲のビートを叩き始め、原もそれに続く。

大盛り上がりの会場全体に響く手拍子。ここで登場しなければ「スター」ではない。

 

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ロックスターによろしく(前編)(the band apart @心斎橋BIG CAT 2014 06/08)

どうでも良いバンドの成功は本当にどうでもいいものだけど、バンアパはずっと負けたくないって思いながらやってた唯一のバンドだった。バンアパがイケてると嫉妬した。イケてないと頭にきた。そのギザギザのせいで、僕は面倒くさがられてるもんだとばかり勝手に思ってたから、誘われて本当に嬉しい。

「青春はバンアパとドーパンです」って言えちゃう人は本当にセンスがいいのさ。

フルカワユタカ OFFICIAL WEBSITE 5/28の日記より)

 

the band apart(以下バンアパ)の新作"BONGO e.p."リリースツアーが幕を開けた。

Amazon.co.jp: BONGO e.p.: 音楽

 

新作の出来が素晴らしかっただけにツアーへの期待も高まるが、2014年に入ってからバンアパの首都圏でのライブはほとんどが平日か土曜日。東京在住だが日曜しか仕事の休みがない僕は、指をくわえて見送るだけであった。そうして2014年もそろそろ半分が終わるころ、今回のツアー日程が発表される。

 

首都圏は、6月27日(金曜日)の東京のみ。

 

バンアパファンになってから半年以上もライブを見られないのは初めてで、フラストレーションは限界値に。僕はもはやくわえすぎて噛みちぎれんほどになった指をぶらさげ、この日曜日にツアー1本目を見に行くため大阪弾丸ツアーを強行した。

初めて踏む関西の土地。耳元に飛び交う大阪弁。551蓬莱の豚まんを頬張りながら、BIG STEP 4階にある会場 BIG CATへ向かう。

 

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プリーズ・スコルド・ミー (Yes, We Love butchers 〜Tribute to bloodthirsty butchers〜)

葬礼というのは、一言に尽くせば、「他者からのかすかなシグナルを聞き落とさないための気配り」のことです。(中略)それは死者に向かって「あなたは私にどうしてほしいのですか?」と訊くことです。むろん、答えは返ってきません。でも、それまでの死者とのかかわりの記憶を細部にわたって甦らせれば、死者が「私」にどうふるまってほしいのか、どういう決断を下してほしいのか、どう生きてほしいのか、それを推察することは可能です。

内田樹『街場の教育論』より) 

 

昨年5月末に急逝したbloodthirsty butchers(以下ブッチャーズ)のリーダー、吉村秀樹

その早すぎる死を悼み、彼への愛情・恐怖・怒り、もろもろの感情をぶつけずにはいられない────

老若男女を問わぬロッカーたちが集結したブッチャーズのトリビュートアルバムが、今年の1月に2枚同時リリースされたのを皮切りにシリーズで出されている。

 

その第1弾、"Abandoned Puppy"に参加したメンツのうち、特に僕の注意を引いたのは

the band apart(以下バンアパ)がカバーした"2月 / February"と、

BRAHMANがカバーした"散文とブルース"だった。

 

Yes, We Love butchers ~Tribute to bloodthirsty butchers~Abandoned Puppy

Yes, We Love butchers ~Tribute to bloodthirsty butchers~Abandoned Puppy

 

 

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居酒屋トドルのカレー曜日(toddle@下北沢THREE 2014 04/27)

この週末は仙台郊外で東北地方最大のロックフェス「ARABAKI ROCK FEST」が行われていた。
僕のツイッターのタイムライン上にも、同フェスに参加している人たちが現地で楽しんでいる様子が流れてくる。
それは音楽だったり、
東北の遅い春の景色だったり、
あるいは食べ物だったりする。
 
そう、フェスではよく「フェス飯」とも言うべきフードが充実している。
地元の特産品を使うものもそうでないものも、出演者とともにフェスを盛り上げる重要な要素だ。
 
フェスに限らず、「祭りの焼きそば」や「ディズニーランドのチュロス」など、多分家で食べればそこまで美味いと感じないであろうものが特別な美味を感じさせるのは、その非日常がスパイスになるからではないか。
フェスに比べれば非日常性の小さいライブハウスでのイベントは、基本的にフードには力を入れない。
 
が、この日、そんなARABAKIの陰で、下北沢THREEにイベント出張カレー屋「ウミネコカレー」が降り立った。
 

 

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時にはいちファンのように(toddle@渋谷TSUTAYA O-nest 2014,03/02)

「ちょっとヤバくないですか、Quasiと一緒にライブするんだって。ヤバいねぇ」

 
感情が昂ぶって言葉が出なくなると「ヤバい」を連発するしかない、ということがある。
最近の若者の話ではない。
toddle小林愛(38歳)である。
 
結成20年を迎えたロックンロール・デュオ、Quasiの日本ツアーに同行するtoddleの面々は、一発目のこの日、いつもより興奮していたように見えた。

僕たちは「音楽」と向き合うことができない(のか)

先週末、代々木ZHER THE ZOOにて催された「IKKI Festival 2014」というイベントを見てきた。
 
これは小学館発行のコミック雑誌「月刊IKKI」及び別冊のWebコミックの編集部が主催した企画で、コミックファンがIKKI連載作家たちと話したりサイン本を受け取ったりできるパーティだ。ゆえに「音楽フェス」という位置付けではない。
 
が、なぜか3時間あるそのイベントの中には4本もの音楽ライブが組まれている。
 
ライブの演者は、一部ゲストミュージシャンを呼んではいたものの、基本的にはIKKI連載の漫画家(及び編集長)である。
ついでにいうと幕間では漫画家のライブドローイング(その場で漫画を描き、その様子が場内のスクリーンに映される)と共にDJタイムがあったのだが、そのDJも漫画家(複数人持ち回り)だった。